収録現場でのマイクに関係するお話を色々と。。。

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みなさん、マイクと言うとどんなモノを連想しますか?

実際にプロの収録現場を体験したことのない人は、ほとんどカラオケのマイクを思い出すんじゃないかな?

そう、あれもマイクの一種。

ワイヤレスのハンドマイクで、ダイナミクスマイクと呼ばれているものが普通です。

今回話題にするのはそのマイクではなく、プロの収録現場で使われているコンデンサマイクと呼ばれている種類のモノについてです。

といってもマイクの性能や構造についての細かな話をするつもりはなく、その特性と収録現場ならではのマイクワークというものについてお話します。

専門学校やワークショップの現場でも体験できますが、プロの現場のマイクワークとはどういったものなのか。

そんな話を少し。

マイクがなければ始まらない

音の入り口

収録という作業は、音を録音することを目的とします。

録音するためには世の中に存在する音を、何らかの形で記録しなければなりません。

ややこしく言いますが、今では音を記録する方法はデジタル化させることが普通です。

「デジタル化」という事柄について詳しく語ると、本が1冊かけてしまうのでここでは避けますが。

とにかく録音するには音を集める道具とそれを記録する道具が必要となります。

今の時代は記録する道具は「パソコン(スマホを含む)」です。

しかし、音を集める道具は古来より(そんな昔ではないけどw)「マイク」と決まっています。

このマイクがなければキミたちの声も、とうぜんお芝居も「記録」することが出来ません。

あ。マイクは音を集めると表現しましたが、音を大きくする(ボリュームを上げる)という機能は持っていません。

それはまた別の機械を使います(アンプといいいます)。

とにかく、世の中に存在する音と言うのは空気を振動させて発生しているので、空気がなければ人の耳には伝わりません。

だから、昔は(大昔w)お芝居や音楽の演奏会は「ライブ」でしか表現できませんでした。

そう、つまり生でしか音を伝える手段はなかったんです。

そこにマイクが発明され、さらにレコーダーという音を記録する機械が発明され、人類は音を記録するという機会に恵まれました。

これによって世界中の数々のエンターテインメントがいろいろな人の耳に届くようになりました。

そして、今。

そのマイクによってキミたちの芝居が、多くの人々の耳に届けられようとしています。

マイクがなければ、キミたちのお芝居を届ける手段はごく限られた範囲になってしまうでしょう。

そんなマイク。

是非とも仲良くしてあげてください。

マイクとお友達になろう!

まず。

マイクは繊細です。傷つきやすいです。気分屋です。お天気にも左右されます。放っておくと拗ねます。ちゃんと優しく触れないと壊れてしまします。そして、高いです。

ああ、なんか別のモノを表現している気がしてきた…

ま、あながち外れてはないんだけど。

昔はよくそんな言い方をされてました、マイクの扱い方は。

「気難しい女性を相手にするように扱え」と。

ま、これはエンジニアなどが使用するときの扱い方の話なので、いわゆるマイクに音を入れる側の演者さんに当てはまる話ではないのだけど。

だけど。

マイクに嫌われるという話はよく聞きます。

もちろん相手は(マイクは)機械だから感情があるわけではなく、すべてはマイクを使う側のあり方の問題なんだけどね。

たとえば。

「マイクを吹く」と表現される、いわゆるNGな行為があります。

知っている人も多いかと思いますが、演者が発した息がマイクにあたり「ボフッ」とノイズが乗ってしまう現象。

これ、意識してしゃべらないと頻繁に乗ります。

他には「リップノイズ」と言われるもの。

これは、口の中の舌や口腔の筋肉の動きをマイクが拾ってしまい、ノイズとして発生してしまう現象。

「プチッ」とか「ポコッ」って感じでノイズが乗ります。

他にもね、衣服の擦れの音とか、お腹が鳴っただとか、顎の骨の動きが聞こえるだとか、床がきしんだだとか、、、

いっぱいあるんです。

普段生活していると全く気にならない(聞こえない)、でも、マイクで録音するとなると気になるノイズたち。

そんな繊細なマイクと仲良くしないと、どんなにいいお芝居が出来ても全部NGになってしまいます。

特にコンデンサマイクと言われる、プロの収録現場では当たり前に使われているマイクでは、これらのノイズを拾います。

だから、プロの声優やナレーターはこれらのノイズに対してめちゃくちゃシビアです。

そりゃそうだ。

せっかくの自分の仕事が台無しにされるかもしれないんだから。

じゃあ、そんなノイズたちとどのように付き合っていけばいいのか。。。

マイクワークと言う仕事

マイクワークとかマイキングとか、これって多分収録業界の造語だと思うんだけど。

マイクを使った収録で演者が気を付けるやり方をそんな表現で表します。

たとえば「オンリー録り」では。

まず、オンリーで録るとはその名の通り「一人で録る」こと(別の意味を表すこともあります)。

この場合、マイクが拾うノイズを発する人間が誰なのか明確なので、対処がしやすい。

つまり、自分が気をつければいい。

衣服の擦れや、床・椅子のきしみ、お腹の鳴り、当然スマホなどの持ち込みは禁止。

そうやっていろいろ気を付けていく中で最も気を使うのが、口から発生するノイズ。

リップノイズだとかポップノイズだとか呼ばれ方はいろいろあるので、注意して欲しいのですが。

要するに口から出るノイズ。

これが厄介で、舌が歯から離れる瞬間でも発生するし、唇と唇が着いたり離れたりするときにも発生する。

息がマイクにあたっても発生するし、唾が多すぎて「さ行」を発音するときにノイズになったりもする。

いや~

これ、また別の機会に特集を組もうww

とにかくマイクの性能が良いことで必要以上に音を拾ってしまい、発生するノイズというのが結構あるんです。

一人でもこんな感じなので、これがアニメの収録のように大人数が一つの部屋で収録するような場合はもうね。

今度はマイク前に入ったり出たり(立ったり離れたり)するマイクワークと言う作業も加わり、それはもう大変なことになるわけで。

ただ、ノイズと言うことに関して言えばそこまでセンシティブではないので、どちらかと言うとどのマイクにどこから入りどうやって逃げてどこで待機して…

みたいな、何やら複雑な作業が必要となります。

収録の世界ではこれをマイクワークと呼び、現場できちんと仕事をする上で大切なスキルとなっています。

大所帯での過ごし方

アニメや外画の収録現場は、大抵の場合が大所帯です。

作品の中に出てくるキャラクターごとに声優が配役されるので、多いときは20人以上にもなります。

そして、普通収録スタジオにセッティングされるマイクは3~4本。

このマイクに入れ替わり立ち代わりでそれぞれが収録します。

すごいですよねwww

シーンによってはもうしっちゃかめっちゃか。。。

目まぐるしく人が入れ代わり、マイクに入れなかったりしてNGになったりとか、声優同士がぶつかってしまいNGとか、結構あります。

だから、リハーサルで誰がどのマイクに「どのように入る」とかも確認されたりもします。

この「どのように入る」かは結構重要で、Aさんは左から入り右に逃げるつもりだけどBさんは右から入り左に逃げるつもりだったら、はい。ぶつかります。

そうならないように、リハの段階でマイクの入り方やどのマイクに入るかなどをそれぞれがチェックしておきます。

さらに。

エンジニアの方でも、どの声優がどのマイクに入るのかをチェックしています。

これは特殊な場合ですが、声優によってマイクの入力ゲインを変えたりしています。

あ、そんなにわからなくていいですww

この辺も改めて記事にしますけど、エンジニアサイドでもマイクに関してはかなり細かく見ています。

なので、リハと違うマイクに入ってしまい困ったなんてこともあったり。

声優もそれをわかってるから本番が終わった瞬間自己申告で謝ったりと、ほんと、マイクワーク恐るべし。。。

これね、マイクに出たり入ったりなので音が正確に録れていないときもあったりして、新人声優のNGのひとつの原因にもなったりしてます。

マイクワーク、これ現場で見ると職人技だな~としみじみ感じます。

それ以外にもね、マイキングってボクは言ってるんだけど、マイクとの距離の取り方や狙い方、ノイズの外し方などいろいろとあるんだよね~

マイクの性能とその活用法

音は空気を伝わって(振動させて)発生するという話をしましたが、マイクもこの理屈を利用して音を拾います。

ちょっと専門的なのですが、マイクには物凄く薄い金属のフィルムがありそこに触れる空気の振動を電気信号に変えています。

まあ、フィルムに空気が触れてというところだけ理解してもらえればOKです。

なので、マイクと口との距離というものが大きく影響します。

よく音が割れるって聞いたことあるでしょ?

あれってつまり、フィルムが必要以上に震えてしまい音として成立しない状況になってるってこと(別の理由もあります)。

だから音が割れないようにするにはマイクと距離をとればいい。

だがしかし。

そんなに簡単な話ではない。

距離をとると今度は必要のない他の音を拾ってしまう。

どんな音かと言うと、部屋の反響音とか床から発生するグラウンドノイズのこと。

難しい?

とにかくマイクから離れれば離れるほど余計な音も拾ってしまうと覚えておけば大丈夫。

マイクにはこんな特性があります。

ま、特性って言うか仕様ね。

つまり大きい音はマイクと離れて録音し、小さい音はマイクの近くで録音する。

これが音を録る場合は常識なんです。

そして声の収録の場合、この常識を上手く使ってマイキングします。

たとえば、ささやくような声の場合マイクに寄ってしゃべる。大声を出すときはマイクから少し離れる。

こうすることで、比較的均一に音量がとれる。

もっとも、芝居である程度距離感が出せているのでそこまで音量にこだわった話ではないけれど、それでも音が割れたり小さすぎたりでNGを出すことは避けられる。

プロの声優はこうやってマイクとの距離感を気にしています。

ああ、距離の話だけでもこんなに字数が。。。

他にもね、オンで話すとか、オフボイスとか、斜めに狙うだとか、吹きを避けるための発声方法だとか。。。

これマジで近いうちに記事にします。

改めてマイクの性質を知っておこう

単純な音の大きさ

マイクが拾う音は不思議な性質を持ってて、マイクの近くで拾う音は小さな音でも大きく聞こえ、遠くで拾う音は大きな音でも小さく聞こえます。

音の大きい小さいは「ボリューム」という物理的な大小だけではなく、その音の特性からも判断できます。

ちょっとややこしい言い方だけど、大きい音と大きな音では微妙にニュアンスが違うんです。

たとえば、1000m先で聞こえる爆発音は「大きな音だけど、小さい音」だよね。

違った言い方をすれば、大きな性質を持った小さく聞こえる音、と言える。

逆に、1mmの近さで聞こえる囁きは「小さな音だけど、大きい音」だよね。

これも同じように小さい性質の音なんだけど、とても大きく聞こえる。

単純に音が大きいとか小さいとかだけでは表現しきれない現象は、日常にいっぱいあります。

こういった現象をプロの声優は、マイクを使って上手く表現します。

小さい音を大きく聞かせるのはそんなに難しくないんだ。

実際にキミたちも試してみるとわかると思うけど、スマホとかのボイスレコード機能を使ってスマホのマイクに近づいて囁いてみると、大きな音で聞こえる。

ところが、反対の大きな音が小さく聞こえる現象を再現するにはちょっとした技術とコツがいる。

一番わかりやすいのが、遠くから話しかけるというお芝居をマイクを使って表現する方法。

単純に、マイクから顔を背け遠くに向かって声をかける。

こうすると、離れたところから声をかけたように聞こえる。

もちろん、声優の芝居が重要なのですが音の特性として、そう聞こえる。

これ、いわゆるマイクを外すっていうやり方で、他にもマイクを外すことで表現できる現象はいろいろある。

マイクを使った音の大小を表現する芝居や、距離感の出し方、音の特性を利用した表現方法など、プロの技術はとめどない。

ホント、マイクと仲が良い。

芝居との相性

そんな仲良しのマイクですが、やっぱり気分屋で繊細です。

大きな声で演じる芝居とはやはり相性が悪い。

まず、大きな音を収録するには本来マイクは向いていないんです。

先にも触れましたがマイクは薄い金属のフィルムが空気で揺れることで音を信号に変換します。

だから、激しく揺れすぎると変換が間に合わなくなります。

つまり、「ボボボボ!」とか「ガサガサガサ!」といった音になっちゃいます。

Youtubeとかで風の音で音声が聞き取れないときとか、こんなノイズになってない?

あれです。

じゃあ、風がマイクに当たるのを防げばいいじゃない?って思うかもしれないけど、そうするとマイクのフィルムが揺れることが出来なくなるので目的の音も拾うことが出来ないんだ。

マイクにスポンジでできたカバーをして、強風のノイズを軽減することは出来ても、あれもやりすぎると音質が変わる、いわゆる「音がこもる」現象が起きてしまうんだ。

じゃあ、大きい音は離れて録ればいいじゃない?って思うでしょ。

そうすると、前に言ったように「小さく聞こえる大きな音」になっちゃうんだよね。

この適正な距離を見つけるのはとても大変な作業で、瞬間的に発生する音を収録する現場では、現実的ではないんだ。

ホント、大きい音は厄介なんです。

それじゃ、声優は大きな声を出す芝居はどうしているかと言うと。

「大きいと思わせる小さな音」で演じています。

これが出来る人はホントにプロフェッショナルだなと、常に感じてました。

これは実際に体験してもらわないとそのすごさが伝わりずらいのですが…

ガナリ声って聞いたことある?

「怒鳴る」は感情が込もったニュアンスだけど、「がなる」は大きな声で何かを話すニュアンス。

たとえば、戦場で指揮を執るだとか、大きな声で話しかけるだとか、キャラクターがボリュームの壊れた人だとか。

そんなシチュエーションの時に声優は「がなり」を使って大きな声を「再現」します。

この「がなり」とは、音質が「大きな声で話している」というだけで、実際にはそんなに大きな音ではないんだ。

つまり、声優は「がなり」を使って大きな声で話しているように聞こえる芝居をしています。

こうすればマイクで拾う音が壊れることなく、大きいと思わせる音を録ることが出来ます。

これもマイク前であるが故の、プロの技術。

他にも大きな声で話しているような芝居をするだとか、発生方法で大声を出しているようにきかせるだとか、いろいろな技法があります。

こうやってプロの声優はその作品が求めている状況を忠実にマイク前で表現していきます。

マイクの特性を理解しコントロールしながら。

なにしろ、マイクが声優の芝居を拾ってくれなければ、そこには何もないのと同じなのだから。

ホント声優は、マイクの使い方がうまい。

まだまだ、奥は深い…

マイク前で台詞にさまざまな性質を加える方法は、他にもたくさんあります。

やり方については演技の勉強とかでも触れる機会があると思うので、ここでは台詞に加えられる性質とはどういったものなのかについて軽く触れておきます。

先にも出てきたけど、マイクを外す手法を使って表現するもの。

これは、オフボイスの一種で台詞が視聴者の耳に直接届いていないようなシチュエーションでよく使われます。

何を言っているかと言うとww

たとえば主人公と女の子が二人で会話をしているシーンの後ろで、友達同士が二人の台詞とは関係のない会話鵜をしているだとか、別な誰かに大声で呼びかけているだとか。

そんないわゆる「ガヤ」的な扱いの台詞を収録するときに、わざとマイクを外して(マイクから少し離れて)録音するときがあるんだ。

こうすることで、より主人公たちの台詞が明確になり「関係ないことをしゃべってるんだな」感が出るんだよね。

他にも画面に映し出されていないキャラが話すときも「オフボイス」と呼ばれ、この時も状況によってはオフマイクで収録するときがあるんだ。

こういったマイクを外した音(芝居)というのは、後で効果などで表現することが難しく、収録現場で対応してしまうこともよくある。

囁き声や、いわゆる「甘い声」なんかもマイクを使って表現を豊かにすることが出来る。


日常でも囁き声や甘い声は、耳元で使うことが多いと思うんだけど、収録する際も同じことでマイクに近づいてそれこそ耳元で囁くように甘い声をかける。

すると、ホントに耳元でささやかれたようなトーンの台詞になる。

他にもね、吹きを避けるために「ふ」とか「ぷ」の音を発音するときはマイクから45度から60度くらい斜めに口先をずらしたり。

歯擦音(しさつおん)が激しく出てしまうセリフの時も口先をマイクからすこし外したりとか。

プロの声優はこういった芝居とは直接関係のない動作も、マイク前で芝居をするときはほとんど無意識に行っている。

こういったマイクワークやマイキング(マイクつ使い方)を駆使して、自分たちの演技(表現)を最大限伝えることに努めている。

マイク前で芝居をするということは、マイクと仲良くなりマイクと共同作業をすることに他ならないんだ。

まとめ

演技の勉強をする中で、小道具の扱い方を学ぶこともあるんじゃないかな。

小道具を使ったお芝居で、より表現を膨らませる。

マイクの場合、小道具とはちょっと違いそれ自体が演技の幅を広げてくれるものではないけれど、マイクの使い方でキミたちが表現できる演技の幅は広がる。

つまり、自分が表現したいと思うことをよりリアルに忠実に「音声」という「形あるもの」に残してくれるツールがマイクであると言うこと。

マイクを有効利用するのはキミたちであって、マイクに使われ振り回されることがあってはならない。

ところが、マイクの特性をよく知らないで臨むと、マイクに振り回されてしまう。

ちょっと抽象的な表現過ぎるかな。

つまり、キミたちの芝居やその声が上手く記録されないということ。

声優は「声」を「形あるもの」に変える仕事だからね。

上手く記録されなかったら、存在しないのと一緒だからね。

マイクと上手く付き合ってください。

今回はここまで。

ゆうでした。

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