声優業界に携わる人たちになら共感してもらえると思うんだけど。
アニメやCMなどで聞こえてくる音声にやたらと敏感に反応してしまう現象。
「ん?この声は○○さんかな?」
「お!○○さんの声だ!!じゃあこのアニメ観てみよう!!」
的な反応。
これ。
今までは家族からすると、ただ単にウザイだけの反応でした。
ところが最近、共感者がデキました^^
今回はそんな話を。。。
思い起こせば…
そもそも声優という存在を知ったのは
子供の頃から普通にテレビでアニメを観てました。
この話をすると年齢がばれるんだけど、まあいいかww
小さい頃によく耳にしていた声優は古谷徹さんや神谷明さん、井上和彦さん、古川登志夫さんなどの方々。
いまもバリバリの現役ですが、あの頃からバリバリだった。
今みたいに声優がたくさんいなかったのもあるかもしれないけど、一部の声優が多くのキャラクターを演じていたのかもしれない。
でも。
改めて調べてみると、あの当時テレビで見ることができる作品ってそんなになくて。
だから決まった声優ばかりを聞いていたのかもしれない。
そして、上げたお名前を聞いてわかる通りどの方も大変に達者な声優ばかり。。。
そりゃ、耳に強烈に残るわけですよ。
今もあの頃の声優のお芝居が原点になってしまうのですよ。
アムロだったり冴羽だったり009だったりあたるだったりが、印象に残ってるんです。
普通の少年でした
そんなアニメにドキドキしていた普通の少年でした。
普通とちょっと違ったのは番組の最後に流れるテロップに興味を持っていたことかな。
なぜか小さいながらにキャラクターを演じている声優にとても興味があった。
そのころに見ていた名前を大人になってからもしっかりと覚えていた。
だから、大人になって音声制作の現場でお世話になるようになったとき、声優というものになんら違和感なくかかわることができたのかな。
不思議なんです。
望んで入った業界ではなかったのでww
音楽の仕事をやりたくて業界に足を突っ込んで。
めぐりめぐって音声制作の現場に出入りするようになって。
そこからは仕事の一環として「音声」というものに触れてきたので、子供の頃のような純粋なドキドキはあまり感じなかったな~
でも、声優と仕事をすることはとても刺激的で、今までのように「名前」で声優を区別することがなくなったな。
名前で区別といと聞こえが悪いかな。
簡単に言うと、売れてる声優だから特別!みたいな意識はしなくなったということ。
声優は仕事を遂行する上での大切な「仕事仲間」という感じでした。
気が付けばそんな世代の一員です。
現在は少し制作の現場から離れているので、現役でバリバリやってたころよりもちょっとだけ純粋に声優のお芝居を聞くことが出来ています。
だから、アニメとか洋画の吹き替えとかを聞いてると「ん?この声優は○○さんかな?」みたいになっちゃいます。
今までは一緒に仕事をしたことがあるだとか、昔よく耳にしていただとかの声優に反応してたんだけど。
気が付けば名前を知らない声優の増えたことww
こんなことではいけないと思い、最近またアニメとかを観るようにしてたら、なんと、仲間が増えた。
娘が受験を終え、空いた時間にアニメを観るようになり、そして、はまったww
現在、あの「呪いの廻る戦いの」アニメにはまっており、中村悠一さんと諏訪部順一のファンになった。
中村さんの声は年齢的にわかるのだけど、諏訪部さんの声とは意外としぶい。。。
二人できゃいきゃい言いながらアニメを観ていると、後ろで奥さんが冷たい目で見てる構図が毎週のように繰り広げられておりました。
そして、これをきっかけに娘がボクの仕事に興味と理解を深めてくれて、そんな話でもよく盛り上がってます。
いや~
こんな日が来るとは思わなかった。
ずっと肩身の狭い思いをするんだと思ってたから。
音響制作って一般的にはあまり知られていない職業だから、人に説明するとき大変なんだよね。
最初の頃は確定申告の時、税務署でも「ん?何それ?どんな仕事の内容?」みたいなことをよく聞かれて。
きっと家族にも理解されないんだろうな~って思ってたので、ちょっと嬉しかったな。
音楽を作っていたんです!
業界に足をつっこんだキッカケ。
そう!音楽をやりたくて業界に足を突っ込んだんです。
といっても最初の頃は仕事なんかなくて、いたるところにデモテープを送ってたな。
今の人たちにはデモテープっていってもわからないかもしれないな。
自分で作った曲をカセットテープに収録して、レコード会社や音楽出版社などに送る。
一昔前のミュージシャンやアーティストを目指す人たちならみんなやっていたことです。
あの当時は自分で楽曲を収録する手段はカセットテープしかなかったから「デモテープ」。
いまは、サンプルとかポートフォリオとかいうけどね。
で、そのデモテープの1つがある音楽制作会社の耳にとまり、採用された。
そこはゲーム音楽を中心に制作している会社で、当時はボクも主にゲーム音楽を作っていた。
そうこうしているうちに、ゲーム内で使用する音声データの編集の仕事を任されるようになり。
そして気が付けば収録そのものの作業を任されるようになり。
そんなこんなで20余年。。。
扱った音声データは数知れず(おそらく何千万)。
ご一緒させていただいた声優さんも数知れず(こっちは数百人?)。
怒涛のように流れていった数十年でした。
時代の流れが大きかった。
ボクがゲーム業界に関わるようになったころは、ちょうど時代が動いた時期と言うか、ゲームの媒体に変化が起きた時期だったんです。
記憶媒体にCD(光学ディスク)が使われるようになり、記憶容量が格段にアップした。
それはつまり、ゲームのグラフィックや音質の向上につながりました。
グラフィックの話はとりあえず置いておいて、音声関連のデータ容量という意味では劇的な変化が起きました。
ゲームがしゃべるようになったんです。
もちろん、収録したデータを再生しているんだけどww
ここで。
ゲームの中で音声が聞ける仕組みについて軽くふれておきます(知らない人のために)。
ゲームで音(音楽、効果音、音声)を再生するには通常2通りのやり方があります。
サウンドエンジンと呼ばれる、簡単にいうとアプリみたいなものをゲーム内に組み込みそれを使ってプログラム的に再生させる方法と、音声データ(サウンドデータ、wavとかmp3とか)を再生させる方法。
最近では両方をミックスしたやり方が多く使われるみたいだけど、まあ、ざっとこんな仕様になってるのかな。
この音声データを事前に素材として用意しておいて、ゲームの中で必要なときに再生する。
ゲームの中でキャラクターがしゃべるのはだいたいはこっちのパターン。
だからゲームのシナリオに則って収録時に声優がキャラクターの音声を(ボイスといいます)収録しておき、それらをデータ化してゲームに組み込むのが一般的なやり方。
当然、音声データなので容量を食います。
だから最初の頃の、記憶容量の少ないゲームメディアでは音声データを内蔵することはかなり難しかったんだ(なくはなかったけどね)。
それがCDを記録メディアとすることで記憶容量が飛躍的に大きくなり、音声データを搭載するゲームが爆発的に増えたんだ。
それは、声優の仕事が増えることにつながり、我々サウンド関連の仕事が増えることにもつながった。
そうやってゲームのサウンド関連の仕事をしていたボク達は「音声収録」という新しい現場に足を踏み入れることになったんです。
実は好きだったみたいです。。。
音声収録といっても最初の頃は、収録されたデータを渡されてそれをシナリオを見ながら一つの台詞につき一つのデータ(サウンドファイル)に切り分けていく作業を任されたんだ。
今でこそ声優も収録スタッフも音声のデータ化という作業に慣れて、最終的にデータ化されやすいように様々な工夫をするから、音声データ化も機械的にできるようになったけれど。
最初は、まず、そもそもシナリオの段階でがデータ化することを考慮してない。
当然声優もシナリオ通りの芝居をするので、データ化するための間がなかったりする。
収録現場も同じような状況で。
いや~データ化するのが恐ろしく大変だった。。。
こんなことは今では考えられないんだけど、当時はデータ化することの方がイレギュラーだったから。
データ化することを意識してシナリオを作るとか声優に芝居させるとかが、ものすごく煙たがられていたな~
それでも声優はすぐに慣れてきて、台詞と台詞が途切れてしまっているような場合でも本当にじょうずにお芝居してくれます。
だんだんとそういう環境にふれているうちに、
「ああ、声優ってすごいな~」「音響制作っておもしろいな~」
ってなっていきました。
そうこうしているうちに、収録作業そのものを任されるようになり実際に現場で声優にいろいろとお願いをするような状況になってきて。
そうするとボクのほうもただ「音」としてデータを扱うのではなく、「生きた素材」にするための努力を心掛けるようになりました。
要は、声優の芝居をそのままの形でゲームの素材として活かす努力。
まあ。
すごく大変なんだけどね、これが。
でも、面白いです。
実は、好きみたいです。
こういうこと。
気がつけば習慣になってました
気になってしょうがないww
共感者の話はどこにいった??
はい。もどします。
テレビなどで聞こえてくる声優の声に反応してしまうという話。
これは、声優好きの人や声優の仕事に興味を持っている人は当たり前のようにあることだと思う。
人はなんでも、興味のあることには敏感に反応するものだからね。
ところが、これを仕事にしていると反応の仕方がハンパない。
まあ、普通の人から見たら異常なレベル。
声優個人に反応することはもちろん、聞こえてくる頻度や番組との関連性、共演者とのバランスや役に対する適応性など。
およそ楽しいとは言えないレベル。
自分の仕事に直接関係ないジャンルのことでも、気になってしょうがないww
現場からはなれていてもこれなんだから、今現役でバリバリやってる音響制作たちは、そりゃあ異常な態に日々なっているわけですよ。
だから、声優に対する意見はものすごくたくさん持っているよね。
じゃないと仕事のクオリティに直結するし、クライアントに対する説明にも信憑性が薄くなるからね。
ま、たまに。
仕事とは関係なく声優に対して異常なほどのこだわりを持った方もいらっしゃいますが。。。
これって声優はどう思ってるのかな~
嫌じゃないといいな~
たぶん嫌だろうな~
音声制作サイドの宿命
ということで。
少し仕事としての音声に対する接し方についてふれてみました。
まあ一般からしたら異常だよというだけで、音響制作、特に音声に関わっている人達からしたら日々当たり前のように感じ考えていることなんだ。
最近では音響制作に声優のキャスティングも含まれることもあって、どんな声優を配役するのかは音響のクオリティの面で割と大きなウェイトをしめてるんだよね。
音響制作会社によってキャスティングしやすい売れっ子声優なんかもいたりして。
だからゲーム制作会社も配役したい声優がいて、その人をブッキング(スケジュールを押さえること)できる音響制作会社を選ぶ、なんてこともよくある。
だから、音響制作は声優と良い関係を築くことはものすごく重要なことなんだ。
そんな音響が声優に詳しくなくてどうするんだって話ww
最近では、「音」そのものに興味があるわけではなくて「声優」に興味があって音響の世界に入る人もいるみたいです。
まあ、邪な考えを持っている輩もごく少数ですがいるみたいだけど。
でも、現場に行けばわかるんだけど。
とてもシビアです。
ちょっとでも油断があると声優からの信頼も失うし、もちろんクライアントの信用も失墜します。
やっぱり感性がモノをいう現場なので、日々努力をしていない人間は見抜かれてしまうよね。
鼻であしらわれてしまうww
だって。
声優も音響以上にシビアな世界で生きて、そこを勝ち抜けてきている人たちの集まりだもの、現場は。
結論。
現場はシビア(アタリマエ)。
頭の中でリスト化
キャスティングも音響の仕事の一つということにふれたけど。
これってある意味データベースなんだよね。
声優の持つ様々なデータをきちんと整理整頓して、必要なときに必要なデータを引き出すことができるようにしておく。
自分の頭の中で。
声優個々の特徴を捉えることはもちろん、所属事務所、スケジュール感(忙しさの度合い)、裏事情などなど。。。
そういったものが頭に入っていないと、クライアントとの打ち合わせなどで役にたたない。
もちろん資料として持ち歩くこともあるけど、基本、業界内での秘め事が多い案件なので、死んでも他には見られてはいけないものなんだよね。
だから、ふつうは頭に入れておきますww
だからね、普段から気になってしまうわけですよ。
そしてつい言葉にしてしまうのですよ。
「ああ、この声優いまのびてきてるよね~、今からだとブッキングにだいぶ手間取るよね~」とか。
「お!この声優つかってるんだ!ここの製作お目が高い!」とか。
「こんなに売れっ子の声優ばっかりキャストできるなんて、予算あるな~」とか。
そういう心の叫びがつい口から出てしまい。
そして、ウザガられるww
そりゃ、一般人からしたら余計な情報ですからww
そして、ついに現る!!
共感者は娘です。
ところがです!
こんなウザいコメントに
「へ~面白いんだね~」
と答えてくれる共感者が現れたんです。
そう。娘です。
受験が終わり時間に余裕ができ今まで対して興味を持たなかったアニメにも興味を示すようになり、そして年頃の女性らしく「イケボ」にはまり。。。
まあ、入り口ですよねww
作品の内容もさることながら、声優のキャスティングにも興味を持ち始めました。
やっぱり視聴者にとってはキャラクターがあっての声優なので、キャラクターにマッチしたキャスティングにはものすごく食いついてきますね。
逆にキャラにあってないとなると、ものすごい言われようで。。。
耳が痛いです。。。
改めて一般視聴者がどうやってその作品を楽しんでいるのか、声優というものをどうとらえているのかが発見できて、ボクも新鮮な感覚でいます。
昨今のアニメ事情で、制作サイドの諸事情やごり押しなど、視聴者を無視した作品作りがされてきた一部の例があったりするので。
やっぱり作品(コンテンツ)を制作するときは視聴者(ユーザー)の目線やニーズをしっかりと反映させたモノに出来るように努めていかなければと、改めて思います。
たしかに。
客観的に観てると、楽しめる作品は声優のクオリティがすばらしい!
これだけは間違いなく言える。
ぶっちゃけ。
他の要素(シナリオや作画・動画)のクオリティが低くても、声優のクオリティが高いと、作品のクオリティは高いんじゃないかと思える。
ま。
逆もあるけどwww
誰しも通る道??
娘がアニメや声優に興味をもったことで、やっぱり誰しも一度は通る道なのかな?と思ったりもします。
自分がそうであったように、アニメや声優にドキドキハラハラする時間が多少なりともあって、それが人生の中で素敵な時間だったりして。
いや、アニメに教えられた人生観なんかもいっぱいあるし、物事を決断するときにアニメのキャラの台詞が頭をよぎることは普通にあるよね。
これってみんなそうなんじゃないかな。
多かれ少なかれ。
そして同じような意見や内容でもどんなキャラが発した言葉なのかで重くも軽くもなる。
さらに言うと。
どんな声優がキャラを通して発した言葉なのかなのかも、かなり重要。
そうは思はない?
娘がこれからどんな人生を歩むのか。
きっといろいろな場面で今アニメから感じている感覚を思い出すのでしょう。
そしてその場面場面でいろいろなキャラクターが心の中で話しかけてくれるでしょう。
イケボで。
母親はドン引きしてます
まあ、父親がこんな状態なので母親はドン引きです。
普通は子供がアニメにはまっているとなれば、親としては「いい加減にしなさい!」となるはずで。
それが「だよな~あの声優イケボだよな~!」ってなるんだから。
だが、妻よ。
一過性のものだ、安心しろ。
社会人となりそれでも人生の9割はアニメだ!と娘が言い出したら、じっくりと時間をかけて話し合おう。
いまは、
そっと見守ろう。。。
まとめ
すいません。
今回はまったくの私情でした。
昨今のステイホーム事情でいろいろな変化が生まれている中で、こういったアニメ需要が伸びてきていることは事実の様です。
オンタイムで地上波で観ることも多いのだけれど、それ以上に映像配信サービスの需要が高まってきてますね。
一部ではオリジナルの作品も現れてきてます。
業界としては大歓迎なのでしょうが、時代の変遷記です。
これからどうなることか、想像しづらいのも事実で。
そんな中、娘の成長とともに様々なことを実感した今日この頃でした。
またこんな内容の記事も書いてみたいので、その時はよろしくお願いします。
では、ゆうでした。
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